オーナー様(匿名)
所在地
中部地方
年商
数千万円
オーナー年齢
70代
(社名非公開)
所在地
非公開
年商
非公開
事業内容
非公開
長年、技術力を武器に事業を続けてこられたあるオーナー様。 年齢や財務面の課題、そして後継者不在という現実に直面し、事業承継について真剣に考え始めました。
社員の雇用は何としても守りたい-その想いを軸に、最終的に選ばれたのがM&Aという選択肢でした。
今回は、匿名でご協力いただいた売主様に、M&Aをご検討された背景や不安、実際に進めてみて感じたこと、そして成約後の率直なお気持ちまでお話を伺いました。
地方拠点で、電子機器分野における設計開発業務を長年営んでこられたオーナー様。大手メーカー出身で、独立後は技術力を強みに、上流工程から受託する事業を展開。
譲渡前は、主にFPGA設計を中心に事業を継続されていました。
「自分で売れるものをつくりたい」
その想いから始まった創業
オーナー様は、大学院修了後、大手電機メーカー系企業で半導体部門に従事されていました。日本の半導体業界が強かった時代に現場で経験を積む中で、「いつか自分たちで売れるものをつくれないか」という想いが芽生え、独立を決意しましたされたそうです。
創業当初は、電子部品商社から出資を受けながらスタートし、当初は論理設計業務などを担っていました。その後、本格的に地方で拠点を構え、事業を展開。東京・神奈川の顧客を中心に、細かな案件を数多くこなすよりも、上流工程から受けるスタイルを強みに、着実に事業を続けてこられました。
M&Aを考え始めたきっかけは
「年齢」と「将来への不安感」
M&Aをご検討され始めた背景を教えてください。
数年前から、徐々に考え始めていました。設計の仕事そのものに時間がかかるようになってきて、自分の年齢や能力の限界を少しずつ感じるようになったのがきっかけです。
このまま自分が今まで通り動けなくなったときに、会社をどうするのか。そこを考えたときに、何か手を打たなければいけないと思いました。
親族承継や従業員承継は検討されましたか。
はい、どちらも考えました。
まず従業員承継については、実際に意向を確認しましたが、借入金が多く、個人保証の問題もあったため、現実的には難しいという結論になりました。
家族についても相談はしましたが、子どもたちは会社の事業内容を深く理解しているわけではなく、それぞれ自分の人生や仕事があります。無理に戻ってきてもらうものでもないと考え、親族承継も難しいと判断しました。
以前、他社にも相談されていたと伺っています。
銀行に相談したことがあります。紹介された先もありましたが、借入が多く、債務超過の状態だったこともあり、「この条件では難しいのではないか」という反応でした。
私自身の印象としては、銀行側で想定しているスキームに乗る案件でないと進めづらいのだろうな、と感じました。財務内容だけで判断されてしまう部分もあり、そこは正直厳しかったです。
シェアモルさんでは、柔軟なスキームをご提案いただき、感謝しております。
弊社にあった承継スキームを
ご提案いただけたので、
話を進めることができました。
M&A仲介会社選びと
シェアモルに相談した理由
当初、M&A仲介会社にはどのようなイメージをお持ちでしたか。
存在自体は知っていましたが、実際にどう進むのかは全く分かりませんでした。
ですので、「本当にうまくいくのだろうか」という不安はありましたし、仲介会社というのは、利益がしっかり出ている会社しか扱わないのではないか、というイメージも持っていました。進め方も分からなかったので、その都度確認しながら進めていったというのが実際のところです。
最近はM&Aプラットフォームもありますが、ご自身で探そうとは思われませんでしたか。
少し考えたことはあります。
ただ、自分で動き始めると情報管理が難しくなりますし、万が一社内にM&Aの話が漏れた場合、組織が不安定になる懸念がありました。日々の業務をしながら、自分で相手を探して交渉して、条件を整理して、契約まで進めるのは現実的ではないと思いました。
そのような中で、弊社に一度話を聞いてみようと思われたきっかけは何だったでしょうか。
他の仲介会社とも比較しましたが、最終的には手数料面が大きかったです。当社のような規模の会社にとって、最低手数料は非常に重要です。その点で条件が合っていたことが、まず大きな理由でした。
あとは、担当の方が熱心に対応してくれたことですね。こちらの状況も踏まえて動いてくれている印象があり、話を進めてみようと思いました。
M&Aで最も大切にしたのは
「社員の雇用」
M&Aを進めるうえで、特に大切にしたかった条件は何でしたか。
一番は、社員の雇用です。
地方で事業をやっているので、もし経営統合がうまくいかないと、社員が離れてしまって組織が空中分解してしまうおそれがあります。ですから、社員が一人も辞めない形で進められるかどうかは、最も重要なポイントでした。譲渡価格よりも、まずそこでした。
初回のトップ面談での印象はいかがでしたか。
全体的に、とても良い印象でした。
事業責任者の方もご出席いただいて、話し方や受け答えからも誠実さを感じました。参加されていた皆さんも、安心感がありました。最終的には人だと思っていますので、その点は大きかったです。
譲渡条件は、当初の想定と比べていかがでしたか。
理想を言えば、無償でもよいので株式譲渡で引き取ってもらえれば、という感覚でした。
実際には、借入金の返済を前提とした事業譲渡のスキームになりましたが、当社の財務状況を考えれば、やむを得ない条件だったと思います。しかしながら、借入金の返済の目処がたち、現実的な形に落ち着いたことに感謝しております。
ご家族にはいつ、どのように伝えられましたか。
話がある程度進みそうだと思えた段階で伝えました。時期としては、相手先との面談後、しばらくしてからです。
反応としては、「それがいいんじゃないか」というものでした。他に現実的な選択肢もないだろう、という理解だったと思います。
最終的な決め手は
「雇用の安心感」と「企業規模」
最終的に今回の譲受企業様を選ばれた決め手は何でしたか。
上場企業であることも安心材料のひとつでした。
ただ、それ以上に大きかったのは、当社が営業に強い会社ではなく、技術中心の会社だったことです。自分たちだけで拡販していくには限界がありましたので、ある程度の規模があり、営業基盤や組織基盤のある会社の傘下に入る方が、社員にとっても事業にとっても良いだろうと考えました。
逆に、当初から社風やビジネスモデルが大きく異なりそうな相手は、あまり合わないだろうと思っていました。
スケジュール管理や調整面で、弊社に任せてよかった点はありますか。
スケジュール管理、論点整理、相手方との調整などは、うまく進めてもらえたと思っています。
自分たちだけでやっていたら、もっと時間がかかっていたでしょうし、何年もまとまらなかったかもしれません。そういう意味では、間に入って進行してもらえたのはありがたかったです。
譲渡後に感じた一番のメリットは
「社員の雇用が守られたこと」
M&Aによって、どのようなメリットがありましたか。
一番大きかったのは、やはり社員の雇用が確保できたことです。
自分の年齢や体力を考えると、このまま数年続けた先に厳しい局面が来ることは想像できていました。そうなる前に、社員の働く場所を残せたことが何より良かったです。
また、譲渡後は給与体系も見直され、社員の処遇が改善された点も良かったと思っています。これまで入社時期などの事情で給与が十分に上がっていなかった社員も、お相手様の評価制度の中で改善されました。
従業員の皆様のご様子はいかがでしたか。
ほとんどの社員は前向きに受け止めていたと思います。
今までは比較的自由にやれていた部分が、大きな組織に入ることで、レポート提出など管理面の新しいルールに慣れていない社員もいました。とはいえ、全体としては大きな混乱もなく進んだ印象です。
ご成約後、お取引先様からの反応はいかがでしたか。
一部のお取引先とは、単価の問題で契約継続が難しくなりました。譲渡後は価格体系が変わるため、それまでの条件では付き合えないという先もありました。
この点は、M&Aのメリットだけでなく、統合後に起こり得る変化として認識しておくべきだと思います。
新しい環境で挑戦したいこと、
そして振り返って思うこと
今後、当該事業でチャレンジしたいことはありますか。
新しい組織の傘下に入ったことで、自分たちがどのような形で新たな貢献ができるかは非常に気になっています。
これまでの延長線上の仕事だけでなく、プラスアルファで何か価値を出していきたいという思いがあります。現在は、先端分野に関わる業務も任されており、その中で自分たちの技術をどう活かせるかを模索しています。
振り返ってみて、「もっとこうしておけばよかった」と思われる点はありますか。
強いて言えば、もっと早く動けばよかった、ということです。
後悔というほどではありませんが、年齢や財務のことを考えると、もう1年前からスタートしていてもよかったと思います。M&Aは、思い立ってすぐ終わるものではありません。M&A後の引き継ぎ期間もあります。だからこそ、少しでも気になった時点で動き出すことが大切だと感じました。
迷っているのであれば、
早めに動いた方がいいと思います。
選択肢が残っているうちに
動くことが大切です。
今、M&Aを迷っている
オーナー様へのメッセージ
最後に、事業承継やM&Aを迷っているオーナーの方へメッセージをお願いします。
迷っているのであれば、早めに動いた方がいいと思います。
私自身、今になって思うのは「もう1年前でもよかった」ということです。結果論ですが、1年前のほうが、より多くの選択肢が残されていたように感じます。まだ大丈夫、もう少し先でもいい、と思っているうちに、年齢や財務、事業環境は少しずつ変わっていきます。選択肢が残っているうちに動くことが大切だと思います。
本件では、財務面に課題がある中でも、売主様が一貫して大切にされていた「社員の雇用を守る」という想いを実現できる形を模索し続けました。
M&Aは、単に高く売るための手段ではなく、「誰に、どのような形で事業を託すか」を考える意思決定でもあります。特に、後継者不在や財務面の不安を抱えるオーナー様ほど、「うちのような会社でも相談してよいのだろうか」と悩まれることがあります。今回のインタビューが、同じようなお悩みを持つオーナー様にとって、少しでも参考になれば幸いです。
