
M&Aノウハウ
最終更新日: 2026/10/9

事業承継士は、一般社団法人事業承継協会が認定する民間資格です。経営者や後継者の課題を整理し、税理士・弁護士などの専門家と連携しながら、事業承継全体の進行を支援する役割を担います。
資格取得には、所定の講座の修了、認定試験への合格、協会への入会が必要です。取得を検討する際は、受講条件に加えて、受講料以外の費用や取得後の更新条件も確認しましょう。
この記事では、事業承継士の仕事内容、取得方法、費用、資格の活かし方を解説します。後半では、自社の事業承継を相談したい経営者に向けて、相談先を選ぶ際のポイントも紹介します。
※資格・講座・費用に関する情報は2026年10月9日時点の公式掲載情報に基づきます。申込時には運営元の最新案内をご確認ください。
事業承継士は、会社の経営や資産の引継ぎだけでなく、経営理念、技術、ノウハウなどの承継も含めて支援する人材の資格です。
資格の認定を行うのは一般社団法人事業承継協会で、資格取得講座は事業承継センター株式会社が運営しています。国家資格ではなく、協会が認定する民間資格に位置付けられます。
事業承継では、後継者の育成、株式や事業用資産の引継ぎ、関係者間の調整など、複数の課題を並行して考える必要があります。
事業承継士は、経営者や後継者の意向を聞き、課題の優先順位や進め方を整理する役割を担います。専門的な対応が必要な場面では、税理士や弁護士などと連携して支援を進めます。
資格を取得しただけで、税務・法務などの専門業務をすべて担当できるわけではありません。相談する側は、資格の有無と併せて、担当者の専門分野や連携体制を確認するとよいでしょう。
出典:一般社団法人事業承継協会
講座の対象は、事業承継協会が認める国家資格の保有者、または同等の知識・能力があると判断される方です。
公式案内では、以下の資格が挙げられています。
指定資格がない場合も、自己判断で対象外とせず、自身の経験や知識を講座運営元へ伝えて確認しましょう。指定資格以外の知識・経験については、個別に判断されます。
公式講座案内では、認定試験は選択式と記述式の混合方式で、講座で使用したテキストと、その項目に関連する内容が出題範囲とされています。60点以上の得点が、協会への入会資格を得る基準です。
ただし、合格基準だけで試験が簡単とは判断できません。受講前には、学習範囲、自分の実務経験、学習に使える時間を合わせて考えましょう。
取得に必要な費用は、講座受講料だけではありません。受験料や協会への入会金、年会費も含めて予算を考えましょう。
費用項目 | 税込金額 |
|---|---|
講座受講料 | 330,000円 |
受験料 | 9,900円 |
入会金 | 11,000円 |
初年度年会費 | 11,000円 |
上記の合計 | 361,900円 |
翌年度以降の年会費 | 11,000円/年 |
更新料 | 5,500円/3年ごと |
合計361,900円は、割引を適用せず、1回の受験で取得する場合の講座受講料・受験料・入会金・初年度年会費の単純合算です。交通費・宿泊費や、取得後の有料研修などの費用は含めていません。
割引の対象や適用条件はコースによって異なるため、申込時に確認してください。受講料と受験料、取得後の維持費を分けて把握しておくと、費用の見通しを立てやすくなります。
講座では、全30時間のカリキュラムを通じて、課題の発見、後継者への引継ぎ、事業承継計画の作成などを学びます。
教室で学ぶコースと完全ビデオコースが用意されています。仕事との両立を考え、日程や受講期間を確認して選びましょう。
完全ビデオコースも、受講期間や修了条件を確認して計画的に学習することが大切です。
公式案内では、講座の出席率75%以上が受験条件です。
受験申込みは、講座での案内と協会の最新の手順を確認して進めます。協会にはWeb申込窓口も設けられています。
講座修了後に慌てないよう、申込方法・支払方法・提出期限を確認しておきましょう。
試験合格後は、協会への入会手続きを進めます。入会には審査があるため、案内に沿って必要書類を提出し、入会金や年会費の支払いを行います。
資格取得は試験合格だけで完了するものではありません。受講・試験・入会までを一連の手続きとして把握しておきましょう。
自身の専門分野に加え、承継全体の流れを学ぶことで、顧客の相談内容を整理しやすくなります。
たとえば、後継者の問題だけでなく、株式や事業用資産の引継ぎなど、関連する課題にも目を向けるきっかけになります。
資格の学習を実務に活かすには、顧客へのヒアリングや提案、専門家との連携を通じて経験を積むことも大切です。
協会では、研修や勉強会などを通じた学びや交流の機会が設けられています。また、講座で提供された資料やツールを実務に活用できることもメリットです。
異なる専門分野の人と交流することで、顧客の課題に応じて連携先を考えやすくなります。
ただし、過去に受け取った資料を使う際も、法制度や顧客の状況に合っているかを確認しましょう。
協会の案内には、支援業務や講師などの依頼について声がかかる場合があると記載されています。ただし、資格取得後の案件紹介や報酬が保証されるものではありません。
取得を検討する際は、現在の業務でどう活かすか、相談を受ける機会があるか、どの分野の経験を深めたいかを整理しておくとよいでしょう。
受講費用の回収を考える場合も、資格取得後にどのようなサービスを提供し、どう顧客との接点をつくるかまで検討することが大切です。
事業承継士の資格更新には、資格認定日からの3年間で30単位の取得が必要です。協会が認める研修の受講や活動などが単位の対象となります。
年会費や更新料に加え、学習に使う時間も含めて取得後の計画を立てましょう。更新の申請方法や単位の対象となる活動は、協会の案内で確認できます。
事業承継に関する相談を受ける業務では、講座で学んだ知識や専門家とのつながりを活かす機会があります。
税理士や中小企業診断士などが、既存顧客の後継者問題や承継計画について相談を受ける場面です。
自身の専門分野に加えて承継全体の流れを理解することで、課題の整理や他の専門家への橋渡しに活かせます。
金融機関やM&A支援会社の担当者が、経営者の承継に関する希望や悩みを聞き取る場面でも、学んだ知識を活かせます。
第三者への譲渡を検討する場合には、事業承継の知識に加えて、M&Aの実務経験や支援体制も求められます。
独立して支援業務を行う場合も、自身の専門分野と組み合わせてサービスを考えられます。
ただし、資格の取得が採用や業務委託、顧客獲得に直結するわけではありません。実際に担当できる仕事は、経験や所属先の体制、案件の内容によって異なります。
事業承継士と事業承継プランナーは、いずれも事業承継協会が認定する資格です。公式説明では、主な役割が次のように整理されています。
比較項目 | 事業承継士 | 事業承継プランナー |
|---|---|---|
認定団体 | 一般社団法人事業承継協会 | 一般社団法人事業承継協会 |
主な役割 | 専門家との連携を含む、事業承継全体の支援 | 課題の発見・整理と、適切な専門家への橋渡し |
事業承継に関する課題を見つけて専門家につなぎたいのか、自身が継続的な支援を担いたいのかによって、学ぶ目的を整理しましょう。
なお、資格名だけで個々の担当者の経験や対応範囲が決まるわけではありません。取得する側も相談する側も、資格の位置付けと実務上の役割を分けて考えることが大切です。
自社の事業承継を相談するときは、資格の有無に加えて、自社と似た課題を支援した経験があるかを確認しましょう。
親族への承継、従業員への承継、第三者への譲渡では、検討事項や必要な支援が異なります。初回相談では、希望する承継方法や時期、後継者の有無を伝えると、支援内容を確認しやすくなります。
依頼前には、次の点を確認してください。
まだ承継方法が決まっていない段階では、まず課題を整理し、相談先ごとの対応範囲を比較するとよいでしょう。
相談先の選び方については、以下の記事で解説しています。
関連記事:無料で相談可能?M&A・事業承継のオススメ相談先や相談方法とは?
公的な相談窓口について知りたい方は、こちらもご覧ください。
関連記事:事業承継・引継ぎ支援センターとは?費用・利用方法と民間仲介との違い

事業承継士は、経営者や後継者の課題を整理し、専門家と連携して承継を支援するための民間資格です。取得を検討する際は、受講条件、費用、取得後の活用方法に加え、継続研修と更新についても確認しましょう。
経営者が相談先を選ぶ際は、資格名だけでなく、担当者の支援経験や対応範囲、自社の希望との相性を確認することが大切です。
シェアモルM&Aでは、会社譲渡や第三者への事業承継に関するご相談を受け付けています。後継者がいない、譲渡を選択肢として検討したいなど、自社の事業承継についてお悩みの方は、お問い合わせください。
※シェアモルM&Aの相談窓口は、会社譲渡・事業承継に関する窓口です。資格取得や講座に関するお問い合わせは、事業承継協会または講座運営元へお願いいたします。
最終更新日: 2026/10/9
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齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、 後に上場する株式会社ムービン・ストラテジック・キャリアにてインターンとして勤務。
在学中に人材会社向け業務システムを開発し、大学卒業後は同社初の新卒社員として入社。
2007年3月に共同出資でマッチングッド株式会社を設立し、同システムを「マッチングッド」として販売開始。
12年の経営を経て、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手にシェアモル株式会社を設立。
自身のM&A経験を通じて、買い手と売り手の間にある情報の非対称性や、M&A仲介会社が提供する付加価値に課題を感じ、 自身が心から依頼したいと思える、付加価値の高いM&A仲介サービスを目指して、IT・AI技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」を展開中。